ヒトとイヌがネアンデルタール人を絶滅させた [図書]

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河合信和さん監訳の、本書が刊行となりました。

きわめて刺激的な本で、河合さんのこんなあとがきがあります。
一般の人にも強い関心があり、永遠のテーマでもある「ネアンデルタール人はなぜ絶滅したのか?」の謎に、最新かつ総合的なアプローチで、原著者パット・シップマンはこれまで想定されたことのなかった推論を導き出した。
アフリカから中東をへてヨーロッパに進出した現生人類は、気候変動や遺伝的多様性の欠失で衰退しつつあったネアンデルタール人を、意図せざる結果として滅ぼした。それには、この頃にいち早く家畜化されるようになったイヌ(原著者の言う「オオカミイヌ」)の存在があった――という説である。
この説を提起したパット・シップマンがベースにしたのは、おおまかに言ってふたつの発見である。
ベルギーのゴイエ洞窟のイヌ科動物が実は家畜化されつつあったオオカミイヌであり、その年代がそれまで想定されていたよりもはるかに古い3万6000年前頃(較正年代)という早さであったこと、そして昨年(2014年)の英科学週刊誌『ネイチャー』8月21日号で報告され、考古学と古人類学の研究者に衝撃を与えた、オックスフォード大学のトマス・ハイラムらのチームによるネアンデルタール人の絶滅と現生人類のヨーロッパへの拡散と制覇の新たな年代的見直しである。
こうした最新知見を基に、動物考古学者として生態学の観点から、上記の説を説得力をもって論述しているのが本書である。

序 章
第1章  わたしたちは「侵入」した
第2章  出発
第3章  年代測定を疑え
第4章  侵入の勝利者は誰か
第5章  仮説を検証する
第6章  食物をめぐる競争
第7章 「侵入」とはなにか
第8章  消滅
第9章  捕食者
第10章 競争
第11章 マンモスの骨は語る
第12章 イヌを相棒にする
第13章 なぜイヌなのか?

パット・シップマン
河合信和監訳、柴田譲治訳
四六判・294頁・定価2592円(本体価格2400円)

第14章 オオカミはいつオオカミでなくなったのか?

第15章 なぜ生き残り、なぜ絶滅したか

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