「カンタブリアLGM」 旧石器時代のSF的手法による思考実験 [方法]

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スペイン・カンタブリア地方等のさまざまな洞窟壁画の記録映像を残されているテクネの深沢武雄さんが、、その洞窟壁画の制作者、年代、旧人と新人の関係など、かねてからいだいていた種々の疑問に、自分なりの答えを模索するため、当時の状況をSFという手法で復元することを考え、「SF的手法による思考実験先史人類学」という形式で、ネット上で書き進められています。

題して「カンタブリアLGM」。舞台はスペイン北部からピレネー、ドルドーニュ地方で、時期は、当初、ネアンデルタール人がイベリア半島で生き延びる2万8千年前頃としていましたが、旧人新人の交替劇を考慮し、カンタブリア地方のシャテルペロ二アン期に対応する3万6千年頃として途中から書き改められています。

最近、奇しくもカスティージョ洞窟の手形の間の丸い模様の年代がウラン・トリウム法で4万800年以上と測定されたと発表があり、一方で新人がイベリア半島に進出してきたのは3万5千年前ころからというのが最近の説でもあり、急遽その丸い模様も、手形も、赤い円盤の列もネアンデルタール人の作として書かれております。

ご本人いわく、考古・人類学的な知見と矛盾しない範囲で思考実験を進めてゆきたいとのことです。
ぜひ、ご覧下さい。
http://www.muse.or.jp/cantabria/cantabriaLGM.html



旧石器の基礎知識 [方法]

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本ブログの親ページ”八ケ岳旧石器通信”をどうしようか、かねがね悩んできた。

新着情報はこのブログで流すため、内容の更新がなされなくなってきたのである。
そこで双方の棲み分けを考えた。

本ブログでは、最新情報や日々の雑感、思考などを書く。
ホームページは、旧石器のスタディやディクショナリー部分の記載を強化する。

そんな意図で、旧石器のスタディのための”旧石器の基礎知識”をオープンした。
http://www.avis.ne.jp/~tsutsumi/

逐次、乏しい知識の中から、項目を追加していきたいと考える。

イショク [方法]

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移植ゴテ。発掘調査の必需品。

写真は何年も使っているもの。土がこびりついている。
分厚く頑丈なイショクより、100円程度の薄っぺらなものが、よく切れる。

本日30(土)は、日本考古学協会欠席の予定だったが、行けることになった。
会ったら声をかけてくださいね。
石なんか投げないように。

礫群の使用実験 [方法]

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礫群がどのように使われているのか?

礫群の利用が今日までなされてきたパプア・ニューギニアの女性を招いて、調布の明治大学校地内遺跡で使用実験が数年前行われた。

加熱した礫群の中に、バナナの皮でくるんだ鳥肉などを入れ、また礫群を被せる。
しばらくするとおいしい蒸し鳥が出来上がっていた。

できればビールが欲しいところだ。だが、グッとこらえた。

こうした”石蒸し調理法”も礫群の使用例のひとつと考えられている。

石器を描くワザ [方法]

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日本実測図大賞なるものがあったとしたら (・・・・・ねぇっつ~の)

私は石器部門で奈良・二上山の佐藤良二さんに一票を投じることだろう。
その図は、安井曽太郎のデッサンのごとく調和を保ち、美しい。

リングやフィッシャーの間隔も絶妙でムダがない。芸術の域に入っている。
ヘタな人間は、やたらにリングやフィッシャーを書き込んで図が汚くなってしまうのだ。

実測図やトレース図は書き込めば、一定の線までうまくなるが、その先が越えられない。
あとはもって生まれたセンスなのだ。

どんなにいい石器でも、実測図がヘタだとショボく見えてしまう。
逆にありふれた石器でも、ペン先ひとつですばらしい石器に見える。

だから気合を入れて丸ペンを握るのだ。

野帳 [方法]

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野帳、かっこつけていうとフィールドノート。

いつも現場のポケットにあった。
野辺山・相模野からロシアまで、さまざまな旅の記録でもある。

写真は80年代初頭、矢出川遺跡の調査で使っていたもの。
もう30年も前のメモだ。
あの頃には戻れない・・・・・

ホーコクショ [方法]

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ホーコクショがあふれ出している。

考古学になくてはならないが、30年かけて集めた宝は、収納の臨界点を超えた。
家の床が抜けると家族にボヤかれる。

おそらく自分の作ったホーコクショでさえ、人の背丈を超す厚さに積み上がる。
学生の頃、10万円を握り締めて、日本考古学協会の人ごみに分け入り買ったものだ。
ホーコクショに数百万円は投資しているのだろう。

もう使うまいと思って手放す気になった「スエムラ」も、古書店では引き取ってくれないという。
なんだかな~

石器を描く [方法]

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考古学という仕事は、モノやアトを記録する作業が原点にある。

石器の断面図化は、マコ(写真)という型取り器具を使っておこなわれる場合が多い。
鉄の針が並んでいる器具で、石器の表面をキズつけないよう、慎重におこなわねばならない。

もっとも最近ではレーザーによる非接触の図化法もあり、脆弱な遺物には有効であるという。
写真図化も一般的である。

しかし、最近はほんとうに便利になりすぎた。
石器や遺跡が人の手から離れるにつれ、考古学は”考え”なくなった。


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