新刊 上ノ原細石刃遺跡 [図書]

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野尻湖の上ノ原遺跡の報告書が刊行になった。

あの「石囲い炉」と、神子柴型石斧、矢出川タイプの細石刃石核の出た遺跡だ。
細石刃41点、細石刃石核41点が出て、いずれも信州産黒曜石という分析結果が出ている。

神子柴型石斧と矢出川タイプの細石刃石核の共伴関係は、当初より取りざたされてきた。
たとえばその共伴について、稲田孝司さんは積極的に評価している。
報告書では、その共伴を慎重に考えているが、私はおそらく伴わないだろうと思う。
神子柴型石斧は細身のタイプで、近隣の星光山荘の隆起線文土器に伴ったものと同じだからだ。

また、「石囲い炉」の評価についても、これのみを取り出して石囲い炉とすべきではないだろう。
囲いの意図が不十分で、礫が小型で不ぞろいである。
これは、旧石器時代後半期の礫群全体を考える中で、炉として機能を問うべきである。
したがって私は、これのみをとらえ石囲い炉とは呼ばない。
礫群として考えたい。

以上は個人的評価だが、どう考えるかはみなさんの判断にゆだねたい。
きちんとした資料報告になっているので、ぜひ手にとって頁をめくられたい。

A4 85頁 (1000円程度で頒布の予定だという)
『上ノ原遺跡 発掘調査報告書 (第一次・北部高校分校跡地点)』
問い合わせ 野尻湖ナウマンゾウ博物館 026-285-2090


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